ニュージーランドに移住した5人家族のブログ

生活

住宅街の道路にある「ぽこっとした小山」の正体。ニュージーランドのスピードハンプ

Roy

ニュージーランドの住宅街を車で走っていると、道路の上に「ぽこっ」とした小山があるのによく出会います。近づくと、黄色いひし形の標識にこんもりした山のマークが描かれていて、その下に「25」の数字。路面には白い三角形がずらりと並んでいます。

今日は、この小山の話です。

正体は「スピードハンプ」。車のスピードを落とさせる仕掛け

この小山は、英語で speed hump(スピードハンプ)と呼ばれています。道路をわざと盛り上げて、車が減速しないと通れないようにする仕掛けです。勢いよく突っ込むと車がガタンと大きく揺れるので、ドライバーは自然とブレーキを踏むことになります。

標識の「25」は「ここは時速25km程度まで落として通ってね」という目安の速度です。路面の白い三角形は、盛り上がりの手前側の斜面に描かれたペイントで、ドライバーに「ここにハンプがありますよ」と知らせる目印です。夜でもヘッドライトに浮かび上がって見えるようになっています。

住宅街の生活道路のほか、学校のまわり、公園や遊び場のそば、スーパーの駐車場など、歩行者、とくに子どもが多い場所でよく見かけます。もっとも、場所によって形は違います。うちの子の学校の周辺には、道路の端から端まで盛り上がったタイプはあまりないのですが、そのかわり横断歩道のところが台のように盛り上がっていて、車はそこで速度を落とすことになります。子どもの多い場所にさしかかると車が自然とゆっくりになるのは、親としては安心できるところです。

キーウィは「ジャダーバー」と呼ぶ

面白いのが呼び名です。ニュージーランドの人たちは、これを judder bar(ジャダーバー)と呼びます。judder は「ガタガタ揺れる」という意味の英語なので、直訳すると「ガタガタ棒」といったところでしょうか。

アメリカでは日常的に speed bump と呼ばれることが多いようですが(厳密には、speed bump は駐車場などにある短くて急な段差を指す言葉です)、「ジャダーバー」はニュージーランドならではの言い方なのだとか。日常会話でもふつうに「この道、ジャダーバーだらけだよね」のように使われていて、初めて聞いたときは何のことか分かりませんでした。こういうニュージーランド英語に出会うと、ちょっと嬉しくなります。

よく見ると、いろいろな種類がある

暮らしはじめて気づいたのですが、この小山、よく見るとバリエーションがあります。

道路の端から端まで盛り上がっている、いちばんオーソドックスなタイプ。横断歩道そのものを台のように高くして、歩行者がほぼ段差なしで渡れるようにしたタイプ(渡る側からすると歩道の高さのまま道路を横断できるので、ベビーカーにもやさしい)。そして、小山がいくつかに分割されていて、間にすき間が空いているタイプもあります。これはバスや救急車のような車輪の間隔が広い車はすき間をまたいでスムーズに通れる、という工夫なのだそうです。

どれも目的は同じで、「住宅街の道路は、車がスピードを出す場所ではない」というメッセージ。標識や取り締まりで「ルールとして」速度を守らせるのではなく、道路の形そのもので物理的にスピードを出しにくくしてしまう、という発想です。

日本の道路との違い

日本で暮らしていたころを思い返すと、この手の盛り上がりを見かけた記憶はほとんどありません。調べてみると、日本でも「ハンプ」という名前で、生活道路の安全対策として少しずつ導入が進められているそうですが、まだまだ数は少ないようです。

ニュージーランドでは本当にそこらじゅうにあるので、運転の感覚も変わってきます。住宅街に入ったら「どうせすぐジャダーバーがあるし」とはじめからゆっくり走るようになるんですね。速度の抑制が、標識ではなく体感として身につくというか。

一方で、車で走っているとガタン、ガタンと何度も減速させられるので、正直「ちょっと多すぎない?」と思う日もあります。実際、地元のニュースでも「設置しすぎだ」という議論はときどき話題になっていて、住民のあいだでも賛否があるようです。

おわりに

それでも、子どもたちが歩く道で車がみんなゆっくり走ってくれるのは、やっぱりありがたいものです。

後部座席の子どもたちはというと、今ではもう大きくなって、ジャダーバーを越えても気にも留めません。ただ、移住したてのころは下の二人がまだ小さくて、「ぽよん」と揺れるのを少しだけ面白がっていました。減速のための仕掛けが、あのころはささやかな娯楽にもなっていたのだと思うと、なんだか平和でいいなと感じます。