歩道に大きなワンちゃん。ニュージーランドで見かける roaming dog の話

朝、いつもの道を歩いていたら、歩道の真ん中に大きな犬がいました。黒と茶の毛並みで、体高もそれなりにあります。リードはついていません。飼い主らしき人も見当たりません。
その子は地面のにおいを熱心に嗅いでいて、こちらにはまるで関心がない様子でした。少し離れたところでは道路工事をしていて、オレンジのコーンが並び、作業員の方が普通に立っています。誰も騒いでいません。この光景が日常の一部だということです。
ニュージーランドに住んでいると、こういう場面にときどき出くわします。
リードなしで歩いている犬は、けっこういる
日本で犬が一頭で道を歩いていたら、かなりの騒ぎになると思います。でもこちらでは、そこまでの緊張感がありません。庭から出てきてしまった子、散歩中にリードが外れた子、いろいろです。
英語ではこういう犬を roaming dog や wandering dog と呼ぶそうです。roam は「あてもなくうろつく」という意味の動詞です。
とはいえ「よくあること」で片付けられているわけではなくて、法律も行政の窓口もちゃんとあります。
犬の登録とマイクロチップは義務
ニュージーランドには Dog Control Act 1996 という法律があって、生後3か月を超えた犬はすべて、地元の council(自治体)に登録しなければならないそうです。しかも毎年で、期限は 7月1日とのこと。
さらに、初めて登録する犬にはマイクロチップの装着も義務づけられているそうです。オークランド市の案内によると、初回登録から2か月以内に入れる必要があり、家畜の誘導に使う牧羊犬などは対象外とのこと。恥ずかしながら、私も今回調べるまで知りませんでした。
出典: Microchip your dog|Auckland Council
登録しなかった場合の罰金は 300ドル、マイクロチップを入れなかった場合も同額だそうです。
つまり、うろついている犬でもマイクロチップが入っていれば飼い主が特定できる、という仕組みになっているわけですね。
見かけたときは council に連絡する
オークランドの場合、うろついている犬を見かけたら Auckland Council に報告します。窓口が用途で分かれているのが少し分かりにくいので、整理しておきます。
- うろついているだけ
Ask Auckland Council(ask.aucklandcouncil.govt.nz)からオンラインで報告 - 攻撃的、咬まれた、吠え声がひどい
急ぎなので電話。0800 462 685(24時間)
写真の子のように、ただのんびり歩いているだけならオンラインで十分です。逆に、うなっている、追いかけてくる、人に向かっていくといった様子があるなら、迷わず電話のほうにしてください。
出会ってしまったときにどうするか
これは正解がひとつではないと思うのですが、こちらでよく言われているのは次のようなことです。
- 走って逃げない。走ると追いかける本能が働いてしまいます。
- じっと目を見つめない。犬にとっては挑戦のサインになることがあります。
- 大きな声を出さない。落ち着いて、体の横を向けて、ゆっくり距離をとる。
- 手を出して撫でようとしない。人懐こく見えても、飼い主のいないところでは何が起きるか分かりません。
- 子どもと一緒のときは、子どもを自分の後ろに回します。うちでも「犬がいたらパパの後ろ」と話しています。
正直なところ
写真の子は、見るからにお利口そうでした。人にも工事の音にも動じず、ただ自分の世界でにおいを嗅いでいる。こういう子なら、正直こわくありません。
ただ、いつもそうとは限らないのが本当のところです。明らかに気が立っている子や、こちらをじっと見ながら近づいてくる子に出くわすこともあります。そういうときは、やっぱり少し身構えます。子どもと歩いているときはなおさらです。
犬が悪いというより、外に出てしまっている状態がよくないのだと思います。その子にとっても危ないですし。
おわりに
大きな犬がのんびり歩いている風景は、のどかで、ニュージーランドらしいとも言えます。でもその裏には、登録とマイクロチップという仕組みがあって、通報の窓口があって、ちゃんと戻れるようになっている。
のんびりして見えるものが、実はきちんと設計されている。この国で暮らしていると、そういう場面によく出会う気がします。
写真の子も、無事におうちに帰れていますように。



